独特の雰囲気をもつ入母屋屋根

Manami Sakaguchi Manami Sakaguchi
茨城の民家再生, 松井建築研究所 松井建築研究所 منازل
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アジアの伝統的屋根形状のひとつである入母屋屋根は上の部分は切妻(2方向に勾配をもつ)と下の部分は寄棟(4方向に勾配をもつ)の2種類の屋根が組み合わさった構造となっています。西洋には普及していなかったため現在でも東アジア独特の形式とされています。日本においては古来より入母屋造はもっとも格式が高い形式として重んじられてきました。今回はそんな入母屋屋根の住宅を紹介したいと思います。

日本本来の姿

築約100年の入母屋造りの瓦屋根をもつこの地方独特の民家を、東京を拠点に活動する松井建築研究所が再生されました。築100年の民家にさらに住み続けたいというクライアントさんの思いで古き良き時代の民家が蘇りました。外観はできるだけ当初の姿に戻され、周囲の風景の中に溶け込み続けていくよう配慮されています。また内部空間は現代の生活に合わせて住みやすい機能や設備をもつなど新しきものと古きものが共存した空間となっています。瓦の存在が際立ち、良き日本本来の姿がここに存在しています。

強い存在感

こちらも上記と同じく松井建築研究所が手掛けた住宅です。都内の閑静な住宅街に代々大切に受け継がれてきた築80年の民家を再生されました。屋根には古い瓦を再利用しながらも1枚1枚ビス止めをした耐震施工が施され、再び美しい入母屋屋根が蘇りました。入母屋屋根は瓦の存在を最大限に美しく魅せることができる屋根だと思います。また日本家屋独特の強い存在感を生み出してくれます。

次世代へと繋いでいく

こちらは京都を拠点に活動する株式会社BAUS工藝社が手掛けた住宅です。1枚1枚の瓦が屋根全体の美しいデザインを生み出していて綺麗ですね。京都には築100年を超える古き良き家屋が多く残る街です。それを維持していくのは簡単なことではありません。しかし日本の大切な文化を次世代へと継承していくということは、とても大切なことです。これまで紹介してきた住宅もこちらの古民家にもそんな想いが詰まっています。

耐風性が高い

茅葺きや日本瓦葺きの民家が散在し、のどかな田園風景が残る農村集落に建つこちらは兵庫県を拠点に活動するEU建築設計が手掛けました。70年にわたり美しく風化し、地域の景観の一部を担っている外観を残しながらも、変わりゆく農家の住まいの一つのあり方を示されました。そんな外観の入母屋屋根は、和風テイストでどっしりとした落ち着きのあるデザインとなっているので安心感を与えてくれます。また見た目だけではなく構造的にも4面から構成されているため耐風性も高く、台風や暴風にも強いとされています。

静けさと渋さを感じる外観

こちらは鹿児島県を拠点に活動する志賀建築設計室が手掛けた、入母屋屋根の和風平屋です。クライアントさんが剣道八段の腕前で武家屋敷に憧れを持っていたのでどっしりと構えた印象のある入母屋の屋根形状や木の黒色塗装、瓦のいぶし銀などがそうしたイメージを与えてくれています。静けさと渋さを感じさせる素敵な外観ですね。

金属屋根でできた入母屋屋根

こちらは神奈川県を拠点に活動する長友建築研究室が手掛けた住宅です。昔は大家族が生活していたこちらの住宅はいつしか時代に取り残され、住む人はいなくなりました。そこで再び住むことはできないだろうかと考え、古民家再生計画が始まりました。入母屋の形状をした金属屋根と木質材の外壁で構成された外壁で再構成された外観をもつ住宅は、再びあたたかい光がこぼれる素敵な住宅となりました。

伝統的な外観

こちらは兵庫県を拠点に活動するKATACHITOCHIKARAが手掛けた住宅です。伝統的な民家の骨格を残しながらも、現代的な生活をおくれるような内部空間となっています。元の家のシルエットや構造体、植栽を利用することで落ち着いていながらも機能的な空間をつくりあげられています。遠くからでも美しさがわかる、住宅が醸し出す独特の雰囲気を感じ取ることができますね。

屋根裏の活用

こちらは兵庫県を拠点に活動する総合建築植田が施工を手掛け、設計はMegaが手掛けました。2階にある屋根裏は暗く使われていませんでした。そんな空間を大きな一室空間として生まれ変わり、壁の4面にガラスの窓を設置されたことで光を取り込むとともに、夜になるとそこからもれる光が美しい外観へとなりました。また内部はどの方向からも外の景色が目に入ってくる、天守閣のような部屋となっています。入母屋屋根は屋根裏の通気性や断熱性が高いともされています。

photo:K.sugino

住宅と庭

既存の庭を最大限に活かしながら建てられたこちらの住宅は、長崎県を拠点に活動する鶴巻デザイン室が手掛けました。日本の住宅文化のひとつである縁側からは、四季折々の植物がある庭を楽しむことができます。そんな縁側や入母屋屋根、写真手前にある古い井戸が日本でしか味わうことのできない素敵な雰囲気を醸し出しています。こちらの古い井戸もいかして使われています。

瓦の美しさ

兵庫県尾道市に建つ明治2年に建てられた住宅の離れの部分を、広島県を拠点に活動する株式会社濱田昌範建築設計事務所が再生されました。瓦の美しさと1階正面の木の格子が白い壁によく映えています。入母屋屋根のメリットとして雨水が4方向に流れるため、雨天時の水はけが良いとされています。現代において頻繁にみることはなくなった入母屋造りですが、入母屋がだす独特の雰囲気をいつまでもなくなることなく引き継いでいかなくてはなりませんね。

【屋根については、こちらの記事でも紹介しています】

※ 入り母屋から越屋根まで。屋根の種類とそれぞれの特徴  

※ 屋根の種類まとめ

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