合板とは構造用合板とも呼ばれ、薄い木板を繊維方向に90°ずらしたものを重ねることで、木が持つ性能のバラつきが小さくなり、反りや寸法安定性など単板よりも優れていて扱いやすい木板のことです。また、大きさや厚さも豊富で、価格も比較的安いのが特徴です。木目をきれいに仕上げたものもありますが、基本的には仕上げ材としては他の素材に比べていくぶん見劣りする分、下地材として用いられることがほとんどです。しかし、そのローコストの構造用合板をうまく住まいに取り入れている家も数多くありますので、今回はそうした実例を紹介していきたいと思います。
こちらのエンジョイワークスが手掛けた住宅では、階段の壁をシナ合板で2階の天井までそのまま仕上げています。それにより、お施主さんが自由に自らDIYでここに造作しながら、ギャラリースペースとしてディスプレイや棚を使って階段の空間を自由に飾ることができるように計画されています。長年生活する中で移り変わるライフスタイルに合わせて、思い通りに簡単に家具やデコレーションを変化させることができる楽しく住みやすい住まいとなっています。
写真:東涌 宏和
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こちらのATELIER CHOCOLATEが手掛けた動物病院併用住宅では、住宅のリビングダイニングスペースにシナ合板を使って造作家具を設けています。主にテレビ台として利用しながら、右側の扉に周辺機器やDVDなどの収納スペース、そして左側の縦格子となっている部分にはエアコンが収納されています。大きなエアコンがおしゃれなインテリアを乱してしまうことに悩まれている方も多いと思いますが、ローコストの合板でおしゃれに隠してみてはいかがでしょうか。
写真:OOKURA Hideki / KUROME photo studio
【住まいづくりついては、こちらの記事でも紹介しています】
色々なサイズや厚さや種類がありますが、等間隔に穴が開けられた有孔ボードもその1つです。有孔ボード、穴あきべニアなど様々な呼び方がされますが、その吸音効果を利用して音楽室などの壁や天井によく用いられます。その穴が等間隔に開いていることを他の方法でうまく利用しているのが、シーズ・アーキスタディオ建築設計室が手掛けた住宅の階段です。ここでは、階段の踏込み板に使うことで、やさしい光が透過して階段を仄かに照らしてくれています。
こちらのFLAT HOUSEが手掛けた住宅では、家の中のほぼすべての床と壁と天井をローコストなラーチ合板で仕上げています。通常であればローコストな合板は見栄えも安っぽくなってしまいますが、ここでは板をひし形にカットして仕上げているので、見え方が変わり非常に奥深い表情になっています。ローコストな合板素材でも建築家のアイデアによって、立派な1つの材料に生まれ変わる1つの良い例です。
写真:太田拓実
比較的ローコストな合板といっても、木材がもともと持っている香りや素材感による温かみも住まいにもたらしてくれます。こちらのH+M アトリエが手掛けた緑に囲まれた住宅地に建つ家では、天井を針葉樹合板で仕上げたり、他にも据え置き家具を製作するなどあらゆる部分に用いられています。周囲の豊かな緑と同様に、そうした家の中の木材も時間と伴に味わいを増していく楽しみをもたらしくれるはずです。
写真:KINUMAKI YUTAKA
【木材については、こちらの記事でも紹介しています】
こちらの住まいは、ローコストに抑えるために耐力壁と内部のべニア板を兼用としています。天井も同じべニア板で仕上げてあります。一般的な住宅では、天井や壁はクロスで仕上げられますが、デザインのアクセントとして壁の一面や天井をべニア板あらわしにすると空間に表情とオリジナリティが生まれます。
クレジット: earth-architect
こちらはベニヤ板で制作したキッチンの作業台。べニア板のワイルド表情とステンレスヘアラインのキッチンが組み合わされると引き締まった仕上がりになります。規格サイズの建材を多用することでコストを抑えながら機能性の充実を図った住まいです。